絵と猫とぐだぐだ ~髙木元就

雑記ブログです。趣味で絵を描いています。漫画やイラストなども含めて、幅広く絵の好きな人に読んで貰いたいです。

大学への呼び出し1 No.88

フレスコ画の授業

 日本画の授業のなかで、フレスコ画をやることとなった。
 これは課題や提出物という強制的なものではなく、希望する生徒には参加してもらうという程度のものだと聞いていた。

 

 授業での話は少しだけ置いておいて。

 まずはそのフレスコ画のことを簡単に説明すると。

 フレスコ画は壁画という形式の絵画で、まだ乾いていない漆喰の壁に石灰水で溶いた顔料等で描いく絵画である。

 以前の投稿で、ミケランジェロの壁画の話を少ししたけれど、そのシスティーナ礼拝堂の天井画もフレスコ画である。

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ミケランジェロ システィーナ礼拝堂 創世記の物語 作品紹介

 このフレスコ画日本画研究の一環として、授業内でやるという話を、A先生(男子)から直接聞いた。

 その話を、A先生(男子)が僕に切り出す場面も変なのだが。

 僕はA先生(男子)を求めて研究室へ行き、A先生(男子)は居ないと言われながらS先生からの対応を受ける。

 それでS先生と会話をしていると、居ない筈のA先生(男子)は研究室の奥から何処かに向かっていく。

 そこで僕に気付き、フレスコ画を授業内でやることを伝えてくる。

『日にちだけは決定しているけれど、まだやる教室などの具体的なものは決まっていない。
もし参加するなら、その決まっている日時に3年生の教室で待機していてくれ。
もしフレスコ画をやる教室が別の所になっていても、その教室に高木くんが居れば必ず誰かを迎えにいかせる。』

 僕はその場で、参加する意思を伝えて待っている約束も交わしていた。

 

 それから、その約束の日の当日、僕はその指定された日時に指定された場所にいた。

 しかし、周りに生徒が何人かいるだけで、何かが始まる気配はない。

 大学の授業では、授業時間になってもなかなか教員がこないという場面がよくある。
 だから、30分程度の時間が経過することに何の疑問も持たなかった。
 それから一時間ほど経過して、ふと気付くと、教室に僕以外は誰もいない。

 誰かに話を聞こうと、研究室(日本画の職員室)や幾つかの教室をまわっても、誰もいない。

 諦めて帰ろうとしていた頃になって、日本画校舎の少し特殊な教室で、生徒の出入りしているのを校舎の外から偶然見かける。

 それから僕はその教室に行くのだが、既にフレスコ画の説明関係は全て終えていて、生徒達は制作準備にとりかかる処だった。

 その状況から、僕はフレスコ画の制作を諦めた。

 元々、A先生からは『課題ではないから、やらなくてもいい』と言われていたことや、S先生から『(課題のことで)どうしても知りたかったら、S(男子生徒)やTa等に頭を下げて聞け』という言葉をかけられていた経緯から、諦めも早かった。

 僕はフレスコ画にも興味を持っていて、この授業は受けたかったのだが、不要なトラブルを避ける意味合いからの諦めでもあった。

 

K先生(女子)からの電話

 フレスコ画の授業のことなんか忘れた頃のある日。

 K先生(女子)から、僕の携帯電話に電話がかかってきた。

 

 本来ならば、大学で日本画を制作している筈の時間に、僕はたまたま遊びに出掛けていた。

 一緒に遊んでいた相手は、1年生の頃に数ヶ月程やったアルバイト(お店が潰れてしまって終わった)で知り合った石間さんと安藤さんという人物。

 僕はK先生(男子)から、学校に出てくることを禁じられていたので、日本画の授業・課題制作の為に日本画校舎に居ることも殆どなかった。

 

 電話がかかってきた時、僕は石間さんの車の助手席に座っていた。

 当時はまだポケベルが主流で、携帯電話を持っている人はあまりいなかった。

 僕の家には固定電話はなく、当時やっていたコンビニのアルバイトの連絡手段として、携帯電話を持っていた。

 僕の携帯電話の番号を知る人も、アルバイト関係の人と僅かな友人と実家の母くらいなものだった。

 そんな状態で、K先生(女子)からきた突然の電話は驚いた。

 K先生(女子)側も、大学事務から僕の実家の連絡先を調べ、実家の母から僕の連絡先を聞く等の手間をかけていただろう。

 そして、K先生と電話越しの会話が始まる。K先生(女子)
「あなただけフレスコ画を提出していないようですが、どうして提出しないのですか?制作はしていますか?」

「え?フレスコ画は強制や提出物ではないので、やらなくても良いと聞いていますよ?」
K先生(女子)
「あなたは何を言っているんですか!
これは提出物で、あなた以外の生徒はもうみんな提出していますよ!
準備の手伝いはしますから、直ぐに制作して提出してください」

「そうなんですか…はい、わかりました。すいません。」

 研究室へ行く日時等の細かな話をした後、K先生はこんな話をしてくる。

K先生(女子)
「私がこうしてあなたに電話したことは、他の先生方には絶対に話さないでください。」

「なぜですか?」
K先生
「これは私個人が勝手にやっていることで、これを他の先生方に知られると、私の立場が悪くなるからです。」

「はい、わかりました。」


 隣にいた石間さんは、僕が大学の教員たちと上手くやれていないことを知っていた。
 その上で、こんな事を言ってくる。

「出していない提出物を出せって言ってくれるなら、いい先生達だがぁ?
普通の大学なら、提出物なんか出してなくても放っといて、後は留年だぞ。」

「いや~こうやって電話してきた事を他の先生に話すと、自分の立場が悪くなるから絶対に話さないでくれと言われたんですが、これはいいことなんでしょうかね?」
石間さん
「ん~わからん」


この電話のやり取りをしている時、僕はK先生(女子)のこの言葉を、深く考える迄はしていなかった。
しかし、時間の経過と共に、このやり取りは何度も思い返し、考え悩むことのひとつにもなっていく。