絵と猫とぐだぐだ ~髙木元就

雑記ブログです。趣味で絵を描いています。漫画やイラストなども含めて、幅広く絵の好きな人に読んで貰いたいです。

同じことの繰返し2 No.84

講評会へ向けての約束

 僕はS先生と約束していた。
 課題制作の方向転換を強要してきた意味や内容について、その説明を講評会で必ず行ってくれると。

 しかし、その課題の講評会の当日、約束を交わしたS先生と、担当教員であるA先生(男子)も用事があるということで、講評会には現れなかった。

 本来来る筈だった先生の代わりにK先生(男子)とA先生(女子)が講評会を行う。

 この状況を当日の講評会で知り、やはり今回もS先生には騙されたのだと感じた。
 しかし、少し考え直す。
 僕はあれだけしつこく求めて約束したのだから、S先生からのこと付けくらいはしているかもしれない。
 或いは、何等かの対処はして貰えているだろう。
 S先生は何度も、『講評会で必ず説明する』『準備はしている』と僕に語っていたのだから。

 

 生徒の制作した課題・作品への批評は進む。
 僕の順番が回って来るまでに、他の生徒たちの批評を見ていて、S先生とK先生(男子)との考え方・描き方の違いを強く感じる。

 S先生の指導の場合は、小下図や下図での制作をあまり大切にしていないように感じる。
 下図等でモチーフの輪郭や配置さえ決まれば良いようで、色合いや雰囲気の様なものは本画で描き進めながら作っていくもの・描きながら変わっていかなければならないものだと主張していた。
 A先生(女子)も、S先生と殆んど同じ様な発言をよくしていたのだから、同じ様な考えを持っているだろう。

 K先生(男子)の批評からは、デッサン的な絵の見方を強く感じた。

 まわりの生徒たちに行っている描写面での指摘からも、西洋絵画的な視点をもっていることがわかる。
 こういった教員間の考え方の違いを、K先生(男子)自身で自覚しているかはわからない。

 教員達のなかでは、K先生(男子)の描き方が、僕の描き方や考え方に一番近いのかもしれない。

 その分、語っていることは他の教員達と大きく違って感じる。

 この大学の教員達は、上の立場にある教員の発言に、下の立場の教員は、その場だけ言葉尻を合わせてしまう。

 それでいて、上の立場にある教員がいない場面では、下の立場の教員は、自分なりの考えを生徒に語る。

 「◯◯先生はこう言ってくるけれど、俺(私)はこう考える」など。

 それでいて、複数の教員達のいる場面では「違うことを言っているように聞こえるかもしれませんが、実は(教員達はみんな)同じことを言っているのです」とも語る。

 そういう教員達の考え方の矛盾の部分で、僕は振り回されてきたし、同級生達は、そこに疑問や違和感を感じていないのか、不思議に思っている。

 もし入学当初に、K先生(男子)の様な考え方を持った教員と接していたなら、僕は、一年生の頃から課題に打ち込めてきただろう、とも感じていた。

 でも、これ迄に散々と教員達と揉め、関係が破綻したこの時からでは、殆どの問題が手遅れとなっていた。

 

抑えきれない苛立ち

 講評会は僕の作品の番まで回ってきた。

 僕は自分の作品を持って来てはいたが、それを見せずに話し始めた。

『僕はS先生と約束を交わしていまして、これまでずっと行ってきた質問に対する回答を、この講評会で必ずしてもらえるということでした。
 その為に、僕は自分の描きたいものを途中から中断し、指示された描き方へ嫌々切り替えた訳です。
 今はその当の本人は居ないようですが、その約束についてS先生から何か聞いていますでしょうか?
 何の話も聞いていないのでしたら、僕はこの場で作品を見せたくありません。
 いま制作している作品は僕の意思で描いたものではなく、S先生からの命令で仕方なく描き直したものです。
 それを僕の意思で描いた作品として批評されたくありません。』

 僕の話に対し、K先生(男子)はこう返してくる。
「それは君が全然人の話を聞かないから、S先生は仕方なくそういう言い方をしていたんだろ?
しかも、そのことでも悪いのは全部お前なんだろ?」

 この頃の僕は、いつも苛々しながらも、それを抑え隠そうとしている。

 そんな精神状態である為、K先生(男子)のこの発言だけで怒り、怒鳴り気味に返してしまう。
「勝手に決めつけないでください。
何で僕が悪いという話になっているのですか?

おかしいじゃないですか!

誰からどんな話を聞いて、僕が悪いと判断することにしたのか、説明してください。

 K先生(男子)
「おい、落ち着け。
こっちは誰かも何の話も聞いていない。

ただ今の君の話を聞いて、そう思ったことを言っただけだ。
そんなことよりも、これは講評会なんだから、君の作品を見せなさい。」

「K先生(男子)はいま嘘ついてますよね。
何にも知らないふりしながら、何かを基にした発言していて、言ってること卑怯じゃないですか?
何も聞いていない筈なのに、何で今この時点で悪いのは俺だと結論付けしてるんですか。」

K先生(男子)
「本当に何も知らない。
いまこの場は講評会なのだから、作品を批評しないということをする訳にはいかない。
講評会に出席している以上、作品は出しなさい。」

僕は「何も知らないのに、よくそれだけ酷い言葉を返せるものですね」と毒つきながら、持ってきた課題をみんなの前に出す。

 

 この少しの間の会話だけで、Ka先生の発言に疑問と不信感と怒りがこみ上げてくる。
K先生(男子)の最初の発言で
『全然人の話を聞かないから、仕方なくそういう言い方をした』
という文句は、S先生が僕に対して何度かかけてきた言葉そのままである。
 何も知らない人物が、偶然にもこの文句を選び『悪いのはお前なんだろ?』という結論付けまでするだろうか?

 これまでの2年間、複数の教員たち(全員が助教授)と僕とで何度も繰り返し起こったトラブルを、その学部の教授という立場の人間が本当に何も知らないでいるものだろうか?

 証拠こそないが、僕はK先生(男子)の発言から悪意と嘘を感じ取ってしまう。
 そういうものを感じながらも、これは僕の勘繰り過ぎや早とちりだったのではないかと考えようとする。

 S先生との問題で、僕自身の大人気ない感情の昂りを、K先生(男子)にぶつけてしまっている、という自分の愚かさは判っている。
 しかし、K先生(男子)の発した言葉には納得はいかず、僕とS先生(男子)とのやり取りを、同級生達が声に出して笑っている状況もあり、僕は自分の苛立ちを抑えようとしながらも、言葉は荒げるなどして、抑えることは出来なかった。

 

 僕は、この時の課題の制作について、こんな内容の話をする。

 僕自身としては、戦前の日本画の様なものを、大学内で制作しながら学びたい意思を持っている。

 しかし、これまでの教員達の指導では、漠然とした会話上はやってもいいことにはなるけれど、具体的な制作の作業のなかでは許されず、やり直しや方向転換を強要されてしまう。

 その指示に従わなければ、単位をやらないとも言われていて、僕側の意志は無視されていく。

 それでいて、課題の名目上は『自由課題』であり、生徒が描きたいものを自分の意志で自由に描いた、という扱われ方する。

 この時の課題についても、納得のいかない指示を何度か受けていた。

 それ等の事柄の説明を、S先生はこの講評会で必ずするという約束をしながら、今回は何かの用事で欠席している。

 だから僕は、約束している課題の出題内容やその制作上のルールをまず説明して貰わないことには、ここに出した絵(課題)についての批評を貰っても納得することはない。

 

こういう話を僕がすると、K先生(男子)はこう話す。
「この大学では、生徒がやりたいといっている制作に対して、ダメと言ってやらせないということはまず無い。
この話を聞く限りでは、君の意志が弱かっただけの問題じゃないのか?
こういう中途半端な絵を描くぐらいなら、模写でもやった方がよかったね。」

「模写はダメだと言われていたのですが、やっても良かったのですか?」
K先生(男子)
「だから、この大学の先生方は、誰もダメだなんて言わない。」


「そんなことはありません。
一年時の最初の課題から毎回、俺は言われた通りに描かなきゃ単位をやらないと言われ続け、俺が描きたいように描かせて貰ったことなんかはありませんでした。
俺は今までずっと、この件での話し合いなり指導なりを求めてきたのに、やっぱり今回も何の進展もないじゃないですか。
いまK先生(男子)が無いと言っている状況は、実際にはあるんですよ。
K(先生)はその事実に目を向けていないか、K先生(男子)自身も一緒にそういう矛盾した指導してるかのどちらかなんですよ。」
K先生(男子)
「いいや、そんなことはない」
A先生(女子)
「貴方の言っていることは全部勘違いで、誰もそんなことは言っていない。」
K先生(男子)
「ほら、こう言われてるじゃないか。
やっぱりお前の言ってることは勘違いなんじゃないのか?」

「勘違いなどではありません。

あなた達、おかしいじゃないですか!

S先生がここの場で説明すると約束したのに、そのことを何も知らないと言っているK先生(男子)やA先生(女子)は、僕の勘違いだという言葉で片付けようとしている。

でも実際に、何度も僕の絵にダメだと言って、やり直しの強要をしてきた教員のひとりがA先生(女子)自身じゃないですか。

僕は何度も繰返し質問してきたのに、いつまでも適当な言い回しで会話から逃げてきたから、それでこの状況になっているんですよ。

一度くらいは、まともな返答してくれたらどうぜすか?」
A先生(女子)
「だから、貴方の言っていることは、何もかも全てが勘違いなんだよ。
この大学で、貴方の事を悪く言っている人なんか一人も居ないんだよ。」
K先生(男子)
「ほら、やっぱりぜんぶ君の勘違いなんじゃないか。」

「ふざけんな!

言っていることがイチイチおかしいだろ!」

 僕は怒鳴り、僕は教室を出ていく。

 このまま会話を続けていたら、僕は我を失い、K先生(男子)に殴りかかるかもしれないという不安があった。

 A先生(女子)に関しては、女性であることから躊躇し、その行為前に我に返る気がする。